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「産後うつ」は特別なことじゃない!悲しい虐待事件を防ぐためにできること

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幼い子どもの虐待に関する悲しいニュースが後を絶ちません。厚生労働省が発表した検証報告書によると、平成28年度に報告された心中以外の児童虐待死は49例。0歳児がもっとも多く65.3%で、そのうちの半数が月齢0か月児という結果が出ています。虐待の理由はひとつではありませんが、大きく関わっていると考えられるのが「産後うつ」です。重症化すると、子どもへの虐待だけでなく母親の自殺にまでつながるリスクもあると言われています。

産後の女性の10人に1人が「産後うつ」を経験

産後うつとは、出産後にホルモンのバランスが不安定になることに加えて、24時間休みのない赤ちゃんのお世話による睡眠不足、極度の疲労、子育ての支援者不足などが重なることで起こると考えられています。気分の浮き沈みが激しくなる、気力や集中力、思考力の低下、食欲の低下もしくは増加、不眠または睡眠過多、赤ちゃんがかわいいと感じないなどが主な症状です。また、初めての出産後に限らず、2人目3人目でも十分起こりうるのが特徴です。日本産婦人科医会のデータによると、産後の女性の10~15%前後にうつ病の症状が見られ、時期としては産後数か月以内、特に産後4週間以内に生じるケースが多いことがわかっています。産後うつは決して特別なことではなく、誰の身にも起こりうることなのです。

国全体で予防に動き始めている

産後うつの予防や新生児への虐待予防を図る観点から、産後2週間、産後1か月など出産後間もない時期に対する健康診査(母体の身体的機能の回復や授乳状況及び精神状態の把握等)の重要性が指摘されており、厚労省の産婦健康診査事業による国と自治体からの産婦健康診査の費用助成も始まっています。健診の多くは、子宮復古や悪露、乳房の状況診察などに加え、「エジンバラ産後うつ質問票(EPDS)」を用いたスクリーニング調査を行います。これは全10項目の質問に母親自身が回答し、合計点数から産後うつのリスク判定をするものです。EPDSの活用によって、孤立しがちな出産後の母親のこころの問題、抱えている負担にいち早く第三者が気づき、適切なケアへと進められるメリットがあります。所要時間は5分程度です。

少しでも不安なことがあれば、ためらわずに周囲に相談を

産後うつは本人には自覚しづらく、また気づいたとしても周囲に助けを求められる人は少ない傾向にあります。繰り返しになりますが、産後うつは決して母親本人に原因があるわけではなく、また特別な人だけに起こることでもありません。どの自治体も医療機関と連携をはかって、産後のママたちの負担を少しでも払拭すべく取り組んでいます。何か少しでも育児に不安を感じたら、ためらわずに周囲にSOSを求めることが大切です。まずは、出産した病院、保健センターや地域担当の保健師に相談しましょう。そして、親しい人が「産後うつかな?」と気づいた場合は、積極的に関わり、気にかけるようにしましょう。その勇気が、ママと子どもを救い、悲しい事件を防ぐ第一歩です。

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