低体温で痩せ型の女性が増加!月経異常などのトラブルに大きく関係も
Tweet若い女性の低体温や痩せ型傾向、月経異常や不妊の増加を指摘している専門家や産婦人科医は多いですが、実際のデータに基づいた報告例はあまりありません。そんな中、群馬県の産科婦人科舘出張佐藤病院と順天堂大学医学部小児科学講座ら共同研究グループが日本抗加齢医学会総会にて発表した、「現代女性の平均基礎体温と生活習慣との関係性」についての研究結果に大きな注目が集まっています。
1972年からの45年間で女性の基礎体温は0.32℃低下
今回は1,200万インストールを誇る月経管理アプリ「ルナルナ」(株式会社エムティーアイ運営)利用者のうち、データ利用の同意が得られた3万3,000人(対象者は10代~50代/うち20~30代が60%以上)のビッグデータを解析。現代女性における基礎体温について検討した結果、最も低い値を示した基礎体温(最低温)の平均が36.02℃と、1972年に本多らが報告した36.34℃よりも0.32℃も低い結果となりました。注目すべきは、平均基礎体温※1が36℃未満の人が4割近くいた点で、現代女性の低体温化が進んでいることが明らかになりました。また、別の集団の個別調査によって、低温相の平均基礎体温が低い人ほど「朝食を摂らない」頻度が高く、食事内容では野菜の摂取が少なく糖質過多、蛋白不足の傾向があり、月経異常やPMS月経前症候群の割合も高いことがわかりました。
痩せ型女性の方が月経異常や月経痛の割合が高い
同じく「ルナルナ」使用者(18~39歳)約1万6,000人に対するwebアンケート結果によると、平均して実体重のマイナス5kg、理想体重を48kg代に設定していることが明らかになりました。日本人女性における痩せ願望の高さが伺える結果です。また同調査では、体格指数であるBMI※2が18.5未満のいわゆる痩せ型の女性において、月経異常や月経痛の割合が高いことが確認されました。痩せ型女性の妊娠や出産では低出生体重児が増加し、小さく産まれた子は将来虚血性心疾患や糖尿病、メタボリックシンドロームなどの危険性が高まります。毎月の月経を痛みなく過ごし、将来の妊娠や出産に向けて「産める体」を育むためには、標準的な体重の維持が不可欠だといえます。
基礎体温をはかり、自分の体と向き合うことが大切
基礎体温が低いことは、筋力や基礎代謝の低下につながります。また、無理な食事制限などによる極端なダイエットは、日常生活にさまざまな不調を引き起こし、妊娠・出産のリスクが高くなる大きな原因です。将来、妊娠・出産を希望する女性は特に、妊娠する前から基礎体温を計り、適正体重を知ったうえで、自分の体にしっかりと向き合ってケアしていくことが求められるのではないでしょうか。また、今回明らかとなった低体温や痩せ型の女性増加の背景には、ライフスタイルの変化や現代社会のさまざまな問題が隠れています。女性の社会進出に伴って、多くの会社で就労条件が改正され、働きやすい環境が整いつつありますが、一方で、月経に伴う不調やトラブル、乳がんや子宮がん、更年期障害など女性特有の疾患は増加傾向です。個人でのケアはもちろんですが、生涯を通じた女性の健康支援システム構築が望まれます。
※1 平均基礎体温:高温相と低温相を含めた基礎体温の平均値
※2 BMI(Body Mass Index):体格判定の指標として国際的に使用される指標。体重(㎏)を身長(m)の2乗で割った数値。22が統計的に病気にかかりにくく、25以上を肥満、18.5未満をやせ、18.5~24.9を標準としています。