梅毒感染者が急増、報告数6,000人以上に! 他人事ではない「性感染症」
Tweet梅毒感染者の増加が止まりません。2018年12月12日現在で6,000人を超える患者が報告されており、これは実に48年ぶりの緊急事態です。性行動の多様化や複数人との性交渉、コンドームの使用率が上がらない現状に加えて、感染に気づきにくいことから感染拡大や治療の遅れにつながっていると考えられており、厚生労働省を筆頭に各自治体もホームページなどで注意を呼びかけています。これから妊娠を望んでいる女性は特に、梅毒をはじめとする性感染症の種類やリスクに関して、正しい知識を持っておくことが大切です。
主な性感染症と症状
性感染症(STD、またはSTI)は、性的接触によって感染する疾患です。主なものには、近年感染者が激増している「梅毒」のほかに、日本でもっとも感染者が多い「性器クラミジア感染症」、性器に痛みを伴う水疱ができる「性器ヘルペスウイルス感染症」、おりもの量などが増え、放置すると不妊の原因にもなる「腟トリコモナス」などが挙げられます。かつては不治の病と言われていましたが、現在では適切な治療によって症状をコントロールできるようになった「HIV/エイズ」も性感染症のひとつです。
多くの場合は性器のかゆみや赤み、おりものの量や色、においの変化、排尿時の違和感など、なんらかの異変が生じます。ただし、なかには特に痛みなどがなく、ほとんど自覚症状がないケースもあるので、知らない間に感染が広がっていく可能性もあります。そのため、いつもと違う痛みやおりものの状態の変化に気づいたら、ためらわずに病院を受診しましょう。常に体調をチェックすると同時に、普段から感染症予防を心がけることが大切です。
不妊や出産におけるリスク増の危険性も
性感染症は、さまざまなリスクを伴います。たとえば、梅毒に感染していると、HIVやB型肝炎など別の性感染症にかかりやすくなる他、治療せずに放置することでリンパ節が腫れ上がったり、血管や神経など全身に症状を及ぼしたりする可能性があります。また、感染症の種類を問わず、妊娠・出産時に感染していると、お腹の赤ちゃんに重篤な合併症を引き起こしたり、場合によっては早産や死産につながる危険性もあります。これから妊娠を望む女性にとっては、不妊や子宮外妊娠の原因になる恐れもあるのです。
性感染症を予防するには
性感染症の症状はそれぞれ異なりますが、予防のためにできることは皆同じです。第一に、コンドームを正しい手順で使うこと。感染者の精液や膣分泌液に直接触れることによって感染が広がるため、必ず挿入前にコンドームを装着し、射精後は外れないよう扱いに注意して処理します。コンドームで覆えない部分から感染するケースもあるため、100%予防できるとは言い切れませんが、現状もっとも確実な予防法だと考えられています。なお、性感染症は性器からだけでなく、口の粘液からも感染します。第二に、不特定多数の相手との性的接触を避け、セックスパートナーを限定することです。そのうえで、少しでも気になる症状があれば医療機関に相談し、お互いに情報を共有することが重要です。性感染症は、性交経験がある人なら誰の身にも起こりうること。また、治療しても再び感染することもあります。決して他人事と捉えず、性感染症のリスクを少しでも軽減させるために予防に努めましょう。