使ってみたいけど副作用が怖い!「ピル」にまつわるウソホント
Tweet「ピル」というと「避妊のため」というイメージがまだまだあるようですが、最近では女性が自分の体をコントロールするための手段として再認識され、大きな注目を集めています。月経困難症の治療薬として保険が適用されるため多くの女性が服用しており、そのほか月経不調、PMSの軽減、月経移動の目的としても使われています。最近ではオンライン診療も始まり、ピルがより身近な存在になってきました。一方で、長期間服用すると妊娠しにくくなる、太りやすくなる、乳がんのリスクが上がるなどさまざまな誤解も多く、副作用を危惧する人が多いのも現状です。
ピルにまつわる俗説を検証
「ピル」は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンの作用で排卵を起こさないようにするものです。現在主流となっているのは「低用量ピル」で、フランスでは40%、ドイツでは50%の女性が服用していると言われています。にもかかわらず、日本ではピルにまつわる俗説が蔓延しています。その背景には、ピルが普及し始めたときに使用されていた「中用量ピル」のイメージがあるようです。たとえば「ピルを飲むと太る」という誤解です。「中用量ピル」では体重増加が見られるケースがありましたが、低用量ピルではほぼありません。「将来妊娠しにくくなる」という俗説にも根拠がなく、服用をやめれば排卵が起こります。むしろピルを服用することで子宮や卵巣を休ませることができ、不妊症の原因となる子宮内膜症の予防にもなるので、将来の妊娠に対してプラスに働く要素があると言えます。また、「乳がんのリスクが上がる」という点については、ピルを服用したからといって必ずしも発症するわけではありません。反対に子宮体がんや卵巣がん、大腸がんのリスクは減るというデータもあります。不安がある場合は医師によく相談し、ピルを服用するメリットとデメリットをよく知ったうえで、利用を検討すると良いでしょう。
ピルの副作用とは
ピルは薬なので、完全に副作用がないとは言い切れません。特に、飲み始めて1~2か月は吐き気や頭痛、不正出血などが見られる場合がありますが、ホルモンが安定すれば症状は落ち着きます。もしも症状が続くようであれば、ピルの種類を変えることもできるので、かかりつけ医に相談しましょう。ピル服用の副作用としてごくまれに起こる疾患に、「血栓症」があります。これは血管の中に血の塊ができて詰まってしまうもので、太っている人やタバコを吸う人はリスクが高くなるので注意が必要です。海外の調査では、低用量ピル服用者の静脈血栓症リスクは年間1万人あたり3~9人、服用していない人は1~5人との結果が出ています。激しい頭痛や舌のもつれ、胸痛、ふくらはぎの痛みなどが見られた場合は、すぐに医療機関を受診し、ピルを服用している旨を伝えましょう。40代以降になってもピルの服用を続けることで、血栓症のリスクを高める可能性がるため、「何歳まで飲み続けるか」は医師と相談しながら検討することをおすすめします。また、ピルを服用していると、更年期などの症状が起こらない代わりに、閉経にも気づきません。閉経後は、排卵を抑制するエストロゲンは不要です。
ピルの服用を控えるべきはこんな人
大きな副作用も少なく、女性の体を自分でコントロールできるピルですが、一部服用ができない人、もしくは注意が必要な人もいます。喫煙者、乳がん・子宮体がん・血栓症の疑いがある、コレステロール値や中性脂肪値が高い、心疾患がある人は、医師の診断のもとに服用を検討しましょう。特に、喫煙者がピルを服用すると、血栓症のリスクが高くなるだけでなく、不妊率が上がったり子宮頸がんや乳がんのリスクを高めたりするため、ピルの服用有無に限らず、タバコは吸わない・近づかないが正解です。 br> ピルを服用することで月経が正しい周期になり、スケジュールが立てやすくなります。大事な試験や試合、イベント、旅行などに月経が重ならないようにすることも可能です。さらに、PMSや月経痛など女性特有の悩みを軽減してくれます。最近では、120日間にわたって月経を抑えられる低用量ピルも登場し、月経の回数が少なくなることにより生活の質が上がり、子宮内膜症や月経困難症の改善へさらなる期待が寄せられています。ピルは、私たちが利用しやすいように、どんどんと進化を遂げています。大切なのは正しい知識をもってピルを服用すること。そして、定期的に血液検査をするなどして、医師の診察を受けることです。ピルの入手方法に関しては、仕事や子育てで忙しい女性でも気軽に通院できるよう、オンライン診療を導入している医院も増えています。気になる人は、ぜひ一度婦人科を尋ねてみてはいかがでしょうか。