サイボウズでライフスタイルに合わせた働き方を実現する
Tweet「100人いたら100通りの働き方」があってもいいという考えの元、メンバーそれぞれが望む働き方の実現を目指すなど、働き方の先進的な取り組みで注目されているサイボウズ株式会社。入社16年目となる渡辺さんに、サイボウズでの働き方の実現とご自身の出産、復職についてお話を伺いました。
最長で6年間取得できる育児・介護休暇
― 本日はありがとうございます。まずはサイボウズの産休制度についてお話を伺えればと思います。
渡辺 2006年にサイボウズで産休制度が整う少し前に、双子の赤ちゃんを妊娠して、早めに産休にはいった社員がいました。産休の初めての取得者がそういうケースだったこともあってか、弊社の産休制度は妊娠判明直後からとれるなど柔軟に対応できるようになっています。制度が整う11年前までは、今の様に働き方に選択肢も多くはなくて、基本的には多くの社員が長めに残業をしていましたし、結婚や妊娠で退職する社員もいました。2006年はちょうど私自身が妊娠して産休に入る年でもあったのですが、産前休暇が取れるのと同時に育児・介護の休暇も最長6年取得できるという制度が整いました。
― それはすごいですね。
渡辺 私は4年間育休を取得し、復職しました。すごくありがたい制度だったなと思いますね。産後は自分や子供の体調や家族の事情などで、すぐに復職できない場合もありますが、6年も期間があると「どうしても今辞めざるを得ない」ということがなくなります。現時点で育児休業中の者を除き、全員が復職しています。
女性も働きやすくなった9通りの働き方の選択
― 離職率も3.8%と伺っておりますが。
渡辺 そうですね。実は、以前は離職率が高かったんです。制度化を進める2005年がピークで離職率は28%でした。サイボウズは今年で20周年なのですが、当時はITのベンチャー企業として少ない人数で若者ががむしゃらに働く風土でした。新製品も続々と出て会社も上場して。勢いもありましたし、仕事もたくさんあったのですが離職率も高かったんです。
現在は、9種類の働き方が選べるようになっているのですが、当時は図のA1にある「出勤して長時間働く」という選択肢のみだったんですね。それが、2007年くらいから少しずつ選択肢が増えていって、今は男女問わずに場所も時間も自由に選べる9種類の中から基本的な働き方が選べるようになりました。
サイボウズの働き方2006年に育休・介護休暇6年という制度ができたときに、育児・介護の短時間勤務もできるようになりましたが、今の9種類の働き方は育児・介護に理由を限定していません。大学院に行きたい、副業をしたい、健康のために1日休みを多くしたいというケースもありました。 特定の人だけに配慮された制度というわけではなく、「どんな人もどんな理由であっても選択できる」制度です。育児のために早く帰る人が「自分たちだけ申し訳ない」と思わなくてもいいのです。実際に、時短勤務で役員として活躍している人もいます。子どもを二人育てながら、管理職になって早く帰るし、結果も出しています。社長も時短で働いているときもありました。「いろいろな人がいていい」という点が誰にとっても働きやすく、結果的に女性も働きやすい会社になっています。
100人いれば100通りの働き方がある
― 時短勤務の方に対する評価基準はありますか?
渡辺 時短勤務の方だからと特別に分けているわけではないのですが、全社的に行動指針に沿った成長を評価しています。成長を促進するための評価であり、給与と連動していないのが特徴です。給与は、この人が今転職するとしたら、どれくらいかという市場価値をみています。
― 個人の能力や成長に投資しながら、何年も働ける方々を雇用されているイメージですか?
渡辺 長い期間働いてもらう、とうことも今はありません。副業や独立もどうぞ、というスタンスです。“育自分休暇”というものがありまして、転職してみたいとか、海外にいってみたいとか、弊社を退職して違う経験をしたいという社員に対して、退職ではあるんですが、いつでも戻ってこられるようにパスポートを渡しています。実際に青年海外協力隊でボツワナに3年間行っていたものが今年戻ってきていて、サイボウズではできない経験をアフリカで積んできています。人生の中で、「やってみたいな」と思うことができます。ですから、必ずしも弊社に長く勤めて下さいということではなく、100人いれば100通りの働き方ができるということを大事にしています。
― どういった方々が活躍されていらっしゃいますか?
渡辺 ママキャリアインターンという制度で16年の専業主婦期間を経た方などブランクのある方々が入社し活躍しています。子育てが落ち着き、もう一度仕事でチャレンジしたいという意欲ある人たちです。彼女たちの存在のおかげで、社内では今まで以上に子育てに対する理解が広がってきています。また、副業採用もはじめていて、新潟で農業とNPOをしている社員が入社しました。新潟にいながら週2日はサイボウズで、週3日は自分の仕事をしています。男女問わず、いろいろは社員にとって働きやすい環境になっています。
離婚、再婚や子どもの成長に合わせた働き方の選択
― 渡辺さんが育休の4年間はどのように会社とコミュニケーションをとっていましたか?
渡辺 育休の途中で、サイボウズLiveという無料のグループウェアができたので、人事の方と育休取得者同士で使うようになりました。主に近況や子育てに関する情報を共有していました。それ以外ではプレスリリースを見たり社内報に目を通したりしていました。育休3年目くらいには人事担当者2名が自宅に家庭訪問に来たこともありました。最終的には戻るときに面談をしました。
― 復職されたときはいかがでしたか?
渡辺 そうですね。戻ってみたら、すごく会社が変化していて、人も増えて働きやすくなっていました。具体的には、1人でしていた仕事を3人くらいで担当していたり…… 全てにおいて人が増えて働きやすくなっていました。私は時間が経ってから戻ったので新しい気持ちで始めましたね。グループウェアのおかげで、過去に自分がやりとりしたものが残っていましたし、仕事自体は以前と同じようにシステム化されていたので、それほど違和感はありませんでした。
― お子さんを持つ母として、働き方は大きく変わられましたか?
渡辺 変わりましたね。復帰してしばらくは時短勤務をしていました。そのあと夫と別れ、フルタイム勤務に戻しました。部署も変わり、残業が多い時期もありました。いまは再婚して、イベントや出張時以外は、定時に近い時間で夫と一緒に早く帰り、一緒に料理をして、小学校5年生になった子どもと過ごす時間をたくさんもてるようになりました。
― ご主人もサイボウズにお勤めですか?
渡辺 そうです。夫も以前は連日、残業をしていたのですが、結婚を機に早く帰るようになりました。ですから、男性も女性も働き方は本人の自覚次第のところもあるのかな、と思います。どんな立場であれ、仕事の優先度を見極めて必要があれば帰る弊社全体にそういうムードがありますね。昔から見ている私からすると遅くまで残業している社員の数が本当に減りました。
― 今はどんなお仕事を担当されていらっしゃいますか?
渡辺 サイボウズはチームワークのあふれる社会を創るという理念を掲げていて、私は社会課題に取り組んでいるNPOチームの支援を行っています。NPOの方に弊社のクラウドサービスを紹介し、業務の効率化やコミュニケーションの基盤作りに役立ててもらえるよう注力しています。 5年前から“サイボウズ式”というメディアの編集も担当しています。男性の育児参加や、マタハラ、障がい者や母たちの起業、子連れ出勤など取り上げてきました。
― お子さんは望まれたタイミングで妊娠されましたか?
渡辺 はい、そうですね。欲しいな、と思った時に妊娠して、30歳の時に出産しました。
― 素晴らしい! 健康でいらっしゃるんですね。なにか体調管理などで気を付けていたことはありますか?
渡辺 食べ物は新鮮なものをバランスよく、できるだけできたてで食べる、というのを昔から心がけています。
― 産後は、体調に変化などありましたか?
渡辺 出産が大量出血気味で、車いすで運ばれて鉄剤を飲みながらのスタートで疲弊していました。自分を生み育て、産後もサポートしてくれた母親に改めて感謝しました。そのあと母乳育児で体重も順調に減っていきましたし、腱鞘炎なんかはありましたけど、子どもと規則正しい生活をしていたらお腹や肌の調子もよくなりとても健康的になりました。
― 今はお子さんを希望されていますか?
渡辺 はい、できればもう一人授かれれば。今は家族でテニスをしていますが、日々の運動も大事だなと感じています。食事や運動で体を整えていければと思います。
渡辺清美 1975年生まれ。PR会社を経てサイボウズには2001年に入社。マーケティング部で広告宣伝、営業部で顧客対応、経営管理部門で広報IRを担当後、4年間育児休暇を取得。復帰後は、社長室やコーポレートブランディング部で広報、ブランディング、NPO支援を担当している。