学校で行う「がん教育」 健康と命を守るために身に着けたい知識
Tweet学校で子どもたちに向けた「がん教育」が本格化しています。文部科学省は2021年度から実施される中学校の次期学習指導要領に保健体育の授業において「がん教育」を行うよう明記しています。生涯で二人に一人はかかると推測されているがんについて、早い段階から基礎的教養として正しい知識を身に着けることが目的です。
子どものうちから学ぶ「健康と命の大切さ」
文部科学省では、がん対策基本法(平成18年法律第98号)のもとに、政府が策定したがん対策推進基本計画(平成24年6月)において、「子どもに対しては、健康と命の大切さについて学び、自らの健康を適切に管理し、がんに対する正しい知識とがん患者に対する正しい認識をもつよう教育することを目指し、5年以内に、学校での教育の在り方を含め、健康教育全体の中で「がん」教育をどのようにするべきか検討し、検討結果に基づく教育活動の実施を目標とする」としています。生徒たちが正しい知識を学ぶために、専門性の高い外部講師による授業を行う予定です。
気を付けたい”女性特有のがん”
乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、膣がん、外陰がんは女性特有のがんです。女性のがんにおける死因のトップは大腸がんですが、近年は乳がんの罹患者数が増加傾向にあります。
公益財団法人日本対がん協会HPより一般的に乳がんの罹患率は、30代から増加をはじめ、40代後半から50代が最も多いといわれています。乳房のしこりなど自覚症状がある場合は速やかに受診をしましょう。自覚症状がない場合でも定期的な自己チェックや検診が必要です。早期発見で適切な治療を行えば、良好な経過が期待できるため、触診、エコー、マンモグラフィなどの検診を年齢に応じて受けることをおすすめします。婦人科で検診を受ける以外に、各市区町村で行っている乳がん検診もあるので、住んでいる市区町村に確認をしてみましょう。
20~30代の女性に増えている子宮頸がん
子宮頸がんの罹患者は若年化傾向にあり、年々増加しています。
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)であることがわかっています。このウイルスは主に性交渉によって感染し、多くの場合は自然排除されますが、一部のひとはHPVが消失せずに持続感染することがあります。持続感染すると数年~10年程の時間をかけてがん化する場合もあります。原因が特定されていることもあり、ワクチンによりその多くは予防でき、また検診によって早期発見がしやすいため、適切な治療を行えば、将来的な妊娠出産に対するリスクを避けることもできます。しかしながら、諸外国にくらべて日本での検診受診率は大変低く、残念ながら、子宮頸がんによって亡くなる方もいます。乳がんと同様に、婦人科で検診を受けることもできますし、各市区町村で行っている検診もあります。子宮頸がんも少なくとも2年に1度、できれば毎年検診を受けましょう。
健康と命を守るためには正しい知識を持つことが大切です。特に女性特有のがんには自覚症状がないものもあるため、自己判断をせずに定期的な検診を受ける習慣を身につけましょう。