将来の妊娠のために。今から積極的に摂りたい「葉酸」とは
Tweet妊婦に必要不可欠な栄養素として知られている「葉酸」。妊娠中はもちろん、妊娠前から積極的に摂るべきだと言われています。近年では、脳卒中や心筋梗塞など循環器疾患を防ぐ効果も期待できることがわかってきており、健康な体作りのためにも大切な栄養素の一つです。
妊娠期に欠かせない「葉酸」とは
「葉酸」は、ほうれん草の抽出物から発見された水溶性ビタミンB群の一種です。赤血球の生産を助けたり、たんぱく質やDNAなどの核酸を合成したりする働きがあります。また、受胎前後に積極的に摂取することで、着床率がアップする、二分脊椎や無脳症など神経管閉鎖障害のリスクが軽減されるといった研究結果が出ています。胎児の器官形成は受精卵が着床する妊娠3週目から8週目頃に始まるので、特に妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月頃までの間に十分な葉酸を摂取することが重要だと厚生労働省からも通知が出されています。鉄分と一緒に摂ることで貧血予防になり、また産後の赤ちゃんの発育にも関係するため、妊娠中期以降や授乳期にも意識的に摂取するとよいでしょう。こうした理由から、葉酸は第一子だけでなく、第二子以降の妊娠出産時にも積極的に摂りたい栄養素です。
妊娠期のみならず健康な体づくりに必要な栄養素
最近の研究では、葉酸がお腹の赤ちゃんの成長や妊娠中の女性の貧血予防に効果があるだけでなく、多くの病気を防ぐ働きがあることがわかってきました。例えば、心臓病や動脈硬化、高血圧、さらにはうつ病や認知症、がんのリスク軽減にも関係していると言われています。また、眼精疲労や肩こりなど慢性的な体の不調の改善や、美肌、育毛効果が期待できるというデータもあります。葉酸は、妊活中や妊娠中、授乳中の女性はもちろん、男性や高齢者の方の健康な体を作る栄養素でもあります。
将来の妊娠・出産のためにも今日から摂取を!
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書によると、成人男女は1日240㎍(マイクログラム)、妊娠を望む女性は加えて栄養機能食品などから400㎍の合計640㎍、妊娠中は1日480㎍の葉酸摂取が推奨されています。緑色の葉物野菜をはじめ、枝豆、ブロッコリー、レバー、いちご、アボカドなどに多く含まれているので、普段から意識して食事に取り入れましょう。葉酸は熱や水、光に弱い性質があるため、加熱しすぎないことや栄養分が溶け出したスープまで残さず食べるなど、調理法や食べ方を工夫すると栄養素を逃さず吸収できます。なお、約400㎍の葉酸を摂取するには、ほうれん草で1束(200g)、ブロッコリーなら4房(200g)の計算となり、食事だけで必要分を摂取するのは難しい場合があるかもしれません。そのため、不足分をサプリメントで補うのも一つの手ですが、過剰に摂取すると吐き気やじんましんなどの副作用を引き起こすことがあります。1日1mg(1000㎍)を超えないように注意しましょう。なお、サプリメントは医薬品と違って品質や規格が一定ではないため、服用する際は必ずかかりつけ医に相談することをおすすめします。