年間罹患者数11,000人!「子宮頸がん」を積極的に予防しよう!
Tweet日本全国で一年間に約11,000人が診断される「子宮頸がん」。女性のがんのなかでも、特に20代から40代の若い世代が多く罹患しており、死亡者数も増加傾向にあります。子宮頸がんは、ワクチン接種と定期的な検診受診で未然に予防することができます。
年間2,800人もの女性が子宮頸がんで命を落としている
子宮頸がんとは子宮の入り口部分にできるがんで、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。HPVは、一度でも性交経験があれば誰もが感染する可能性があり、じつに約8割の女性が生涯のうち一度は感染すると言われています。感染してもそのほとんどが自然に排除されますが、排除されず持続的に感染した場合、がんになることがあると報告されています。年間で約11,000人が罹患、2017年には全国で約2,800人が子宮頸がんで命を落としており、なかでも65歳未満の死亡例が1,200人超という実情です。国立がん研究センターと国立成育医療研究センターの2019年の報告によると、15歳から39歳のAYA世代(Adolescent and Young Adult)のがんが年々増加しており、そのおよそ8割を女性が占めている点も見過ごせません。AYA世代の女性においても、子宮頸がんと乳がんが増加しているのです。
HPVワクチンの公費助成期間は高校一年生まで
子宮頸がんは、HPVワクチンによって予防することができます。時期としてはHPVに感染する前の接種が有効です。しかし、現在日本では、厚生労働省の勧告によりHPVワクチンの積極的な接種奨励が控えられています。一方、オーストラリアでは男女ともに定期接種が行われており、研究によれば2020年には希少がんの基準に達し、2028年には撲滅の基準にまで達すると報告されています(出典:YOKOHAMA HPV PROJECT http://kanagawacc.jp/vaccine-wr/264/)
日本産科婦人科学会では、近年の子宮頸がん罹患者増加を危惧し、すべての自治体に対して「HPVワクチンが定期接種であることや疾患に関する理解を促す広報を強く望む」との声明を出しています。HPVワクチンは全3回の接種が必要であり、2回目から3回目の摂接種には6か月以上間隔を空ける必要があります。接種を希望する場合、小学6年生から高校1年生までの間は公費助成を受けることができるため、期間内に接種できるようスケジュールを確認し、早めにお住まいの自治体に問い合わせましょう。公費助成の年齢を過ぎても、妊娠を考えている女性は、これから感染するかもしれないHPVを予防できるので、ワクチン接種は有効です。
ワクチン接種の有無にかかわらず、2年に1度の検診が必須
現在日本で使用されているHPVワクチンは2種類あり、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされるHPV16型・18 型に対する2価ワクチンと、尖圭コンジローマの原因となる6型・11型にも対応する4価ワクチンがあります。ワクチンですべての型のHPVを100%予防できるというものではありませんし、すでに感染しているHPVをワクチンで排除することはできないので、性交渉経験のある20歳以降の女性は、2年に1回の子宮頸がん検診をお勧めします。多くの自治体では検診費用を公費助成しているため、自己負担が少なくて済みます。職場での健康診断でも受診することができますし(オプション検査の場合もあります)、もちろんかかりつけの婦人科で検診を受けることも可能です。近年、HPV検査もできるようになり、子宮頸がんの細胞診と併用した検診もより安心です。子宮頸がんは、早期に発見ができれば恐れる病気ではありません。早期発見ができれば将来的な妊娠出産も可能であり、命を守ることができます。HPVワクチンは有効性とリスクを十分に理解したうえで接種するように勧められているため、不安がある方はぜひ婦人科医にご相談ください。そして定期検診を受けるよう心がけてください。