ranking
1st 2nd 3rd 4th

インタビュー

予防医療から考える 望むライフプラ...

2018/02/26

中学生や高校生が「もしかしたら妊娠...

2020/06/08

40万人を越えた体外授精の治療者数...

2017/11/06

女性アスリートと月経、思春期が将来...

2017/09/04

banner_preco
2017/07/24

生理日管理アプリ「ルナルナ」を利用して、気軽に産科婦人科の受診を!

シェア
Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加

女性の生理日を管理することで、次の生理日予測や、妊娠、ダイエットのサポ―トを行うなど、女性の体について情報満載のアプリ「ルナルナ」。今回は、このルナルナの企画・開発をされていらっしゃる株式会社エムティーアイの日根麻綾さんに佐藤病院院長の佐藤がお話を伺いました。

1,000万ダウンロードで女性の健康を守るルナルナ

司会 本日はありがとうございます。それではまず、ルナルナについて教えていただけますか?

日根 ルナルナはスマートフォンで女性の生理日を管理するアプリで、2000年にスタートして、今年で17年目になります。メインアプリは1,000万ダウンロードされていて、男女合わせた健康管理アプリの中でも、おそらく利用者数No.1 だと思います。
提供しているサービスの内容は、大きく分けると三つあります。一つ目は「生理日予測を含めた女性の体調管理コンテンツ」でこれは月経がある方、妊娠していない方が対象です。二つ目は妊娠を希望されている方向けで、「妊娠しやすいタイミングのお知らせや妊娠のサポートコンテンツ」。これは、ここ数年でニーズが増えてきたものです。三つめは妊娠のサポートからつながっていて、そのあとの「妊娠中と育児のコンテンツ」となっています。

司会 どういった年齢の方が利用されていますか?

日根 ルナルナは無料と有料のサービスがあります。無料会員の方が多く、その半数は24歳以下の中学生、高校生、大学生です。有料会員になると20代後半から30代の有職者の方が多くいらっしゃいます。有料会員の方は、妊娠希望の方と体調に不安があるような方が多くいらっしゃいます。

司会 体調不良とは具体的にどんなことでしょう?

日根 月経不順や、PMS、過去に婦人科疾患の経験ある、ご家族に婦人科疾患のご経験者がいるなどといった方々ですね。有料コンテンツの中には情報が多くあるので、こうした情報を知り安心感を得たいという方が多いようです。

佐藤 体調不良を抽出する機能があるんですか?

日根 機能はそれほどでもないのですが、(受診を)啓発するような内容を掲載したり、チェックリストで、チェックが何項目以上あるなら病院にいったほうがいいよねというものがあります。

佐藤 それは会員の方が入力する自己管理コンテンツとは別に情報を送っているんですか?

日根 そうですね。あとは生理日の入力がない方には、生理が遅れていないですか?と自動的に連絡がいきます。また、この未入力が単純に忘れているのか、あるい遅れているのか、遅れているならば、妊娠しているのか生理不順なのかという問題があります。ですから、学会で言われている正常な周期はこのくらいなので、受診してみたらどうでしょう?という情報も送っています。

佐藤 それは、ビッグデータで解析したいですね!

日根 ぜひお願いします!本当にやりたいことがいっぱいあるんです。

佐藤 どれくらいの人がどの程度の不定愁訴(※1)を感じていて、それがどれくらい生理不順と関係するのか…… データを見てみたいですね。

日根 体の不調がいつあったのかは入力してもらっているのですが、私たちもそれをどう返していいのか、なかなかわからないところがあります。ビックデータの解析というのはあるのかな、と思いますね。

佐藤 解析した情報をアプリ上で返すとかね。

日根 そうですね。そこでいうと、いまスポーツをやっている女子向けのアプリのリリースを6/26に予定していて、月経周期の中でコンディションや体調がどのように変化するかを記録して貰います。そのデータを女性アスリートを専門にされている婦人科の先生と解析してPMS予測のようなプログラムを作りたいと考えています。。一般の方よりもわかりやすいデータが出ると思うので、このプログラムを既存のルナルナを利用している一般の方にもフィードバックできればと思っています。

(※1)不定愁訴・・・倦怠感、頭痛、めまい、イライラ、不眠など検査をしても原因が特定できなけれど、何となく体調が悪い、という状態のこと。

ルナルナのデータを活用して産科婦人科受診へ

司会 今後ルナルナで取り組まれたいことはありますか?

日根 たくさんあるのですが、いま取り組みが始まっているのは医療機関との連携です。私たちのジレンマは、データをとっても最後は「受診してくださいね」で終わっていたことです。データをみて「絶対にこの人こうだな」って思ってもなにもいえなくて、「お近くのかかりつけ医を受診してくださいね」と伝えるだけ。個人的にも投げ出しているようにずっと感じていたんです。

会員の方36,000人に、かかりつけ医があるのかないのか、どういったタイミングで受診しているのか調査をしました。調査の結果、かかりつけ医がある方は全体の約10%。受診をするタイミングについては、40%強の方は日常生活に支障がでるほどの症状がでてから受診するということでした。
同じように、産科婦人科医111人に伺った結果では、できればかかりつけには定期的に受診して欲しい、もしくは少しでも症状が出たら来てほしいという結果でした。ここには大きなギャップがあります。

この調査でわかったギャップを解消できないか、と思っています。そのためにルナルナでつけているデータを婦人科の先生にみていただけるような仕組みとして「ルナルナ メディコ」というい医療機関向けのサービスをつくりました。実際に産科婦人科にいっても月経日をうまく伝えられない、症状についても説明できない、という問題を、画面をぱっと見せることで解決する。こうすることで女性たちが産科婦人科を受診する心理的なハードルが下がると思いますし、記録を習慣化していくことにもつながっていくと思います。

いままでは「受診してね」というだけでしたが、この取り組みで会員の方を産科婦人科の受診へつなげていく、という仕組みをつくって全国の病院へ広げていくということをしているところです。

佐藤 先生の前で緊張しちゃう人もいるから、伝えたいことが伝わるコミュニケーションツールとして使えればいいですね。

産科婦人科の受診で女性たちが望んでいること

日根 36,000人のアンケートで「産科婦人科医に期待すること、望むこと」を聞きました。出てきた意見のひとつには、「受診のタイミングがわからないので、知りたい」ということもありましたが、40%の方が「コミュニケーション」をあげられました。「もっと自分の体について先生に話を聞きたい」「コミュニケーションをもっと取りやすくしてほしい」というものです。勇気を出して受診をしても、その時間を満足のいく形で使えていないようなのです。一方で、先生たちも短い診療時間の中でコミュニケーションもっととりたいと思ってらっしゃると知り、両者にとってそこに課題があるのかなと思っています。

日根 ある時、10代の女の子たちと座談会を行ったのですが、知らないことが多いし、なんでも我慢すればいいと思っているんですね。月経痛も薬を飲んで寝て我慢すればいいと思っている。
とくに印象に残っているのは、座談会の中に読者モデルをしているという細くてきれいな女の子がいたのですが、この子が「月経は年に2回くらしかこない」と発言したら、周りの子たちが「いーなー」と…… いやいや、それはちょっとまって! と日頃先生方から聞いている話をしたら、「怖い!」という風になって。知るとそういう反応になるのですが、知らないと月経はネガティブなものなんですね。なぜ月経があるのかもあまり理解していないので、「辛い」「面倒くさい」「ないほうがいい」というものなんです。確かに生殖に直結しない月経もありますが、ピルでコントロールすることもできますが知らない。若い女の子と話しているときちんとした知識がほんとんどないということを、すごく感じます。私たちもそこを啓発しなればいけないし、きっかけでなんでもいいので一回病院に行って、先生の話を聞いてほしいです。もしくは病院にいきやすい状況が整うとか、性教育をしっかりやるということでもいいと思うのですが、若い女の子を見ていると、そこの受け皿が少ないことに危機感を感じます。

司会 はっきりとした病気ではないけど、不調を感じる時、先生になんと伝えたらいいのでしょう?

佐藤 なんとなく調子が悪いことを「不定愁訴」といいますね

日根 「不定愁訴」という言葉を知らないですよね。こんなことで病院にいっていいんだなということがわかるといいですよね。

佐藤 産科婦人科にいくきっかけがわかるといいですよね。それが婦人科疾患に関わる症状なのかを知っているといいですよね。例えば、生理の時に出血が多いと貧血になります。この貧血で出てくる症状は婦人科疾患に関わるものなんです。貧血というと立ち眩みなどをイメージしがちですが、実は、生理前後の頭痛、冷え、倦怠感、気分の落ち込みは貧血が原因になっていることがあります。この貧血を起こしているのが実は生理の出血の多さであったりするのです。そうするとこうした症状を感じたら産科婦人科に相談してもらっていいんです。

司会 そうすると、女性が産科婦人科にいくきっかけとしては生理の時の症状を見直して本当に不調はないかどうかを考える。そして少しでも不調があれば、まずは相談してもいい、ということですね。

佐藤 産科婦人科もこれまでは、周産期、腫瘍、生殖内分泌という三御柱だったのが、いまは「女性医学」というものが加わって四本柱になってきているんです。女性医学は幅広い年齢の女性たち健康をトータルで管理をしようというものです。産科婦人科の専門領域としてようやくはいってきたんですね。女性のちょっとした悩みも産科婦人科でしっかり聞いていこうという流れがようやくできてきた。専門領域にされている先生たちもでてきているので、そういう先生たちといっしょにやっていきたいですね。

司会 ルナルナの新しい取り組みが、女性たちと先生たちの間に共通言語を生み、理解を深めるものになると本当に素晴らしいですよね。多くの女性たちのハードルを下げて、産科婦人科の受診率を上げるものになって欲しいと思います。本日はありがとうございました。



日根麻綾(ひね まあや)
2004年 横浜市立大学商学部卒業
    商社にてSEとして新卒入社
2006年 株式会社エムティーアイ入社
    子会社である広告代理店㈱テラモバイルへ出向し広告・
    マーケティング・新規事業立ち上げなどを経験
2012年 株式会社エムティーアイ ルナルナ事業部 事業部長に着任

シェア
Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
健康のために
おすすめの記事
2018/02/26

予防医療から考える 望むライフプランを描くために守りたい「女性の健康」

2009年に日本に予防医療を普及することを目的として立ち上げられた一般社団法人Luvteli(ラブテリ)。その代表理事、予防医療コンサルタントであり、私生活で...

この記事の続きを読む>>

2018/01/29

ミキハウスが目指す「ママ・パパが安心して子育てできる社会」

これから赤ちゃんを迎えるプレママ、プレパパに向けて、少しでも不安を和らげ、新しい生活を安心してスタートできるようにミキハウスが全国各地で開催している「プレママ・プ...

この記事の続きを読む>>

Copyright 2007-2017 Satohospital All Rights Reserved.