健やかな体を作るホルモンと睡眠の関係性
Tweet日本の働く女性は慢性的な寝不足傾向
生活の全てに影響する睡眠。寝不足は仕事の効率を下げる原因にもなります。経済協力開発機構の調査結果によれば、日本人の睡眠時間はOECD18か国の中でも2番目に低く、さらに、厚生労働省が公表した有職者の男女別睡眠時間では、女性は男性よりも睡眠時間が短く、慢性的な睡眠不足であることが分かりました。
家庭と仕事の両立をしている女性の場合、仕事から帰宅後の夜に家事や育児をするため、睡眠不足になりやすいとの報告もありますが、女性が睡眠不足になりやすいのには、医学的な根拠もあるのです。
生理前はなぜか眠りが浅い
「生理前になるとなぜか眠りが浅い…」そんな経験はないでしょうか。これは女性ホルモンの影響です。排卵前後の黄体期になると、女性ホルモンの一種であるプロゲステロンというホルモンが分泌されます。プロゲステロンの増加により、基礎体温は上昇したままの状態が続きます。眠気は体温が下がる時にくるため、体温が上昇したままになる黄体期では、深い眠りになかなかなれず、眠っても眠りが浅いという現象がおこりやすくなるのです。
睡眠不足感をさけるためには、睡眠の質が大切になります。短くても深い眠りが確保できれば、ホルモンのバランスも整いやすくなります。良質な睡眠に影響するのが脳から分泌されるホルモンのメラトニンです。メラトニンが生成されるのは夜10時から深夜2時、この時間に寝ていると良質な深い眠りが得られます。生理前など、眠りが浅くなりがちなときは、遅くても10時には就寝できるように、意識的に生活をコントロールしてみましょう。
寝不足は肥満にも影響する
また、寝不足は仕事の効率を下げるばかりか、肥満にも影響するようです。健康な人でも4時間睡眠を二日間続けると、充分な眠りを確保した日と比べてレプチンの分泌が減少し、グレリンの分泌量が上昇すると言われています。レプチンとグレリンはどちらもホルモンの一種ですが、まったく逆の影響を与えます。食欲を抑える働きがあるレプチンに対して、グレリンは食欲を高めるホルモンです。つまり、寝不足が食行動にも影響してしまうのです。
不摂生は生活習慣病を引き起こす原因にもなることから、厚労省では「健康づくりのための睡眠指針2014 睡眠12箇条」を掲げています。12箇条の最後では、どうしても眠れない場合には専門家に頼ることも進められています。不眠症外来もありますが、女性の不眠、寝不足の問題は女性ホルモンの影響も強いため、婦人科に相談するのも一つの方法です。より良い眠りを見方に、イキイキと働ける力を手に入れましょう。
健康づくりのための睡眠指針2014