避妊だけではないピルの効果 生理との付き合い方
Tweet今年7月、緊急避妊薬、いわゆるアフターピルの市販化に関する話し合いが厚生労働省で行われました。アフターピルは、望まない妊娠を避けるため、性交渉時になんらかの理由で避妊ができなかった場合に飲むものです。薬局での市販がはじめられた国もありますが、日本では性教育の遅れなどを理由に、アフターピルの市販化が先延ばしになりました。
低用量ピルとアフターピルの違い
今回、市販化の議題にあがったのはアフターピルです。ピルは黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)という2種類の女性ホルモンからできていますが、一般的にピルと呼ばれている、“低用量ピル”と“アフターピル”は用途も服用方法も異なります。低用量ピルは、日本では避妊薬としてのイメージが強くありますが、それ以外に女性の体の悩みを解決してくれる効果があります。服用は毎日です。一方でアフターピルは性交渉から72時間以内に服用し妊娠を避けるものです。ただし、アフターピルを服用したからといって、必ず妊娠をしないわけではありません。 女性の社会進出が進む先進国では、低用量ピルを有効に使う女性が増えており、国連の調査でもイギリスでは約41%の女性が低用量ピルを利用していると報告されています。体調を整える、また家族を計画的に設けるといった前向きな手段として使われているのが大きな特徴といえるでしょう。
月経痛を軽減してくれる低用量ピル
月経痛や月経前のイライラ、頭痛などPMS(月経前症候群)の症状に悩まされている女性も多いのではないでしょうか。低用量ピルには、この症状を楽にしてくれる作用があることをご存知ですか? 低用量ピルは体内の女性ホルモンの量をコントロールして排卵をおこさないようにします。さらに、受精卵を着床させにくくすることにより避妊できる薬です。この低用量ピルを使うことにより、規則正しい月経周期に導くことが可能です。月経前の頭痛やイライラは女性ホルモンの影響が大きいとされていますが、低用量ピルは女性ホルモンの分泌を安定させることから、月経痛やPMSにも効果が期待できるのです。また、低用量ピルを使用すると、良性乳房疾患や子宮内膜症、子宮体がん、卵巣がんなどの発祥の割合が低下するとも言われています。
低用量ピルの服用をやめれば妊娠は可能
低用量ピルの服用経験があっても、妊娠は可能です。低用量ピルの服用期間は排卵を起こさないようにし、受精卵の着床を避ける働きがあるため、妊娠を抑制しますが、服用をやめれば妊娠が可能になります。実は月経は子宮や卵巣にとっては大仕事。子宮や卵巣の負担は大きいものですが、低用量ピルを服用している期間は子宮と卵巣を休ませることもできます。
乳がんのリスクが増える?
日本で低用量ピルが発売された当初、ホルモン量の違いから「低用量ピルを服用すると乳がんになる可能性が高くなる」との情報が流れました。このイメージがいまだに根強く残っているのが日本の現状です。実際は、1990年に承認申請された「低用量ピル」はホルモン量も低く、リスクは格段に低くなっています。
定期的に病院に通うことで、体調をチェック
低用量ピルの処方を受けるためには、定期的に病院に通う必要があります。この定期的に医師の診察を受けることで、体の不調に早く気づくこともできます。また日頃から病院へ行く習慣があれば、一緒にがん検診を受けることもできます。わざわざがん検診に行くのは腰が重いという方でも、定期的に通っている病院で、ついでにがん検診をしてもらえば、検査の負担感も減るはずです。健康だと思い込んで検査に行かない人よりも、低用量ピルの処方で定期的に病院を訪れている人の方が、自分の体のチェックが定期的にできるため、がんに気が付くのも早い可能性もあります。
今や、低用量ピルは働く女性のベストパートナーとも呼べそうです。避妊薬としての役割もさることながら、憂鬱な月経期間をコントロールし、スケジュールを立てやすくしてくれるものでもあります。快適なワークライフを保つためにも、低用量ピルは今後注目されることになるでしょう。