将来の妊娠・出産のためにも知っておきたい 甲状腺の病気
Tweet甲状腺はのど仏の下にある、羽を広げた蝶のような形をした器官です。新陳代謝を活発にする“甲状腺ホルモン”を分泌し、成長や発育促進、またエネルギーを生み出す役割を持っています。ヨードを材料に作られる甲状腺ホルモンですが、生成が多くても少なくても病気を引き起こします。特に女性に多いといわれる甲状腺の病気に「バセドウ病」と「橋本病」があります。
甲状腺の病気:バセドウ病
「バセドウ病」は甲状腺ホルモンを過剰に生産する疾患です。代謝が上がり、やせや発汗過剰、暑がり、動悸、首が腫れる、目が飛び出す、イライラ、不眠などさまざまな症状がおこります。バセドウ病は、「食べてもやせる」ことが特徴的で、体重が減りすぎないように、エネルギー量、タンパク量をしっかりと摂取する必要があります。下痢を合併することもあるので食べやすく消化も良い栄養価の高い食事を摂ります。しかし軽度の場合は食欲が増し、肥満になることもあるので注意が必要です。治療で最も多いのは薬の服用です。このほかにアイソトープカプセルを飲む、放射性ヨウ素(アイソトープ)治療、手術療法があります。
甲状腺の病気:橋本病
「橋本病」は甲状腺ホルモンの生成が低下して起こります。甲状腺腫が固く触れられることが特徴的です。基礎代謝が低下することから、疲れやすさやだるさ、肥満、むくみ、寒がり、声がかすれるなどの症状が表れます。また、食欲低下にもかかわらず、体重は増加します。なお、ヨードの大量摂取により機能低下が進むため、昆布の大量摂取やヨードうがい薬の連日使用は避けます。治療はホルモン薬の服用となりますが、症状がでなければ治療が必要ないケースもあります。
甲状腺の症状と類似している病気とは
甲状腺のトラブルによって現れる症状は、他の病気に類似している場合があります。更年期症状や婦人科系疾患、心臓病、うつ病、糖尿病、貧血などです。不調が続く場合は、甲状腺を検査してみましょう。検査には、血液検査や超音波検査があります。数値に異常がみられる場合は甲状腺専門病院でさらに詳しく検査します。
甲状腺の病気と妊娠・出産
甲状腺の病気は不妊や早産のリスクを高め、胎児の成長に影響を及ぼすこともありますが、きちんと治療を行えば、妊娠・出産は可能です。妊娠を希望した時に甲状腺の病気が分かることも少なくありません。軽度の異常でも定期的な検査をし、必要があれば適切な治療を受けておきましょう。