スポーツドリンクだけに頼らない!アスリートの正しい水分補給とは
Tweet今年の暑さは尋常ではなく、歩いているだけでもどっと汗が吹き出るような気候が続いています。トレーニングを行っているアスリートにとっては、いつも以上に汗をかき、脱水症状を起こしやすい危険な状況です。適切な水分補給は、脱水症状を避け生命を維持するために必要不可欠ですが、実はスポーツドリンクを飲むだけでは十分ではありません。アスリートのための正しい水分補給法について考えます。
脱水とは、体内から「水分+塩分」を失うこと
私たちの体は、汗をかくことで体温調節をしています。汗が肌の表面で蒸発し、気化熱を発生させることによって、上がりすぎた体内の熱を外に逃がしているのです。この機能のおかげで、暑い中でも長時間運動ができます。ただし、大量の汗をかくということは、その分の体液(水分+電解質)が失われるため、脱水症状に陥りやすいという危険性があります。脱水の度合いは、体液喪失による体重減少の割合によって3つの段階に分けられます。体重50kgの人の場合、1.5~2.5kg(3~5%)減少で”軽度”、3~4.5kg(6~9%)減少で”中等度”、5kg以上(10%以上)の減少で“重度”と判断されます。
強い喉の渇き、尿の減少をはじめ、発熱、頭痛、めまい、立ちくらみ、食欲低下、嘔吐、しびれなど様々な体の異変が生じ、最悪の場合は死に至るケースも。そのためには、正しい水分補給が必須です。水分補給の要となるのが「ナトリウム」
水分補給といっても、水分だけを補えばいいわけではありません。水だけを大量に補給すると、体液のナトリウム濃度が低下し、これ以上濃度が低くならないように喉の渇きをストップさせる現象が起こります。同時に、体液濃度を戻そうと水分がさらに排出されて体液不足となり、結果的に急激な体調不良を引き起こすのです。日本スポーツ協会が推奨している飲み物は、「0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と糖質を含んだ飲料」です。また、1時間以上運動する際は「4~8%の糖質を含んだもの」、アスリートのように長時間運動する場合は、血中のナトリウム濃度が低下し、けいれんなどが起こりやすいため、「ナトリウム濃度が高めの飲料を摂取する」ことが重要です。
市販のスポーツドリンクではナトリウム不足に
スポーツ時の水分補給には、スポーツドリンクやイオン飲料などの利用が手軽ですが、一般的な市販のスポーツドリンクに含まれるナトリウムは、40~50mgで設定されています。そのため、アスリートに必要なナトリウム量に満たないことが多く、また、砂糖や人工甘味料などが過剰に含まれているものもあります。ナトリウム量を多く摂取するには、スポーツドリンクと異なる経口補水液の利用や、適正な濃度のものを自分で手作りする方法をおすすめします。水1リットルに食塩小さじ1/2(3g)、砂糖大さじ4と1/2(40g)程度に、お好みでレモン果汁などを少し加えて完成です。練習時に持参するよいでしょう。最近は、熱中症で緊急搬送されるニュースが後を絶たず、死者も出ています。アスリートだけでなく、一般の方、特に子どもや高齢者が脱水症状になりやすい傾向がありますので、ナトリウムの摂取が必要であることを覚えておきましょう。また、手のひらや足の裏など体の末端部分を10~15℃くらいの冷水で5分から10分程度冷やすことで、運動によって上がりすぎた深部体温が下がり、パフォーマンスが向上するというデータがあります。熱中症対策にも効果的なので、運動前や運動中に取り入れてみることもおすすめです。